日商簿記2級 練習問題集

日商簿記2級の重要分野を中心にした練習問題集です。 商業簿記と工業簿記の両方を収録し、問題だけでなく解答と詳しい解説も掲載しています。

2級では、3級で学んだ仕訳や決算処理をさらに発展させ、 固定資産、有価証券、税効果会計、連結会計などの商業簿記に加えて、 原価計算、個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算、CVP分析などの 工業簿記も学習する必要があります。

日商簿記2級について
2026年度の日商簿記2級は、商業簿記・工業簿記を対象とし、 ネット試験では試験時間90分、出題は5題以内です。 2026年度中に施行される試験には、2022年度適用の出題区分表が適用されています。

目次

第1章 商業簿記・仕訳

問題1 売掛金の回収

商品100,000円を掛けで販売していたところ、得意先から当座預金へ100,000円の入金があった。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:当座預金 100,000円
貸方:売掛金 100,000円

売掛金は商品を掛けで販売したときに発生する「将来代金を受け取る権利」です。 今回、その売掛金を回収して当座預金に入金されたので、 当座預金が増加し、売掛金が減少します。

問題2 電子記録債権

売掛金200,000円について、電子記録債権の発生記録を行った。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:電子記録債権 200,000円
貸方:売掛金 200,000円

売掛金という債権を電子記録債権へ切り替える処理です。 会社が持っている債権の種類が変わっただけなので、 売掛金を減らし、電子記録債権を増やします。

問題3 借入金と利息

銀行から1,000,000円を借り入れ、利息20,000円とともに普通預金から支払った。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:借入金 1,000,000円
借方:支払利息 20,000円
貸方:普通預金 1,020,000円

借入金を返済したので負債である借入金が減少します。 利息20,000円は会社にとって費用なので支払利息として借方に記録します。 実際に支払った合計額は1,020,000円です。

第2章 固定資産

問題4 減価償却費

取得原価1,200,000円、耐用年数5年、残存価額0円の備品について、 定額法により減価償却を行う。 1年間の減価償却費はいくらか。

解答

1,200,000円 ÷ 5年 = 240,000円

定額法では、取得原価から残存価額を差し引いた金額を耐用年数で割って、 毎期ほぼ一定額の減価償却費を計上します。

問題5 固定資産の売却

帳簿価額500,000円の備品を450,000円で売却し、代金は現金で受け取った。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:現金 450,000円
借方:固定資産売却損 50,000円
貸方:備品 500,000円

備品の帳簿価額は500,000円ですが、450,000円で売却しました。 50,000円少ないため、固定資産売却損が発生します。

問題6 資本的支出

建物の性能を大幅に向上させるため600,000円を支払った。 全額を建物の取得原価に加算する。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:建物 600,000円
貸方:現金 600,000円

建物の価値を高めたり、使用可能期間を延長したりするための支出は、 単なる修繕費ではなく資産として処理する場合があります。

第3章 有価証券

問題7 売買目的有価証券

売買目的で株式500,000円を購入し、代金は当座預金から支払った。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:売買目的有価証券 500,000円
貸方:当座預金 500,000円

短期的な価格変動による利益を得る目的で保有する有価証券は、 売買目的有価証券として処理します。

問題8 有価証券の評価

売買目的有価証券の帳簿価額600,000円が決算日に650,000円となった。 必要な処理を答えなさい。

解答

50,000円の評価益を計上する。

借方:売買目的有価証券 50,000円
貸方:有価証券評価益 50,000円

帳簿価額より時価が50,000円高くなっているため、 その差額を評価益として処理します。

第4章 税効果会計

問題9 繰延税金資産

会計上と税務上の処理の違いにより、将来減算一時差異が300,000円発生した。 法定実効税率を30%とすると、繰延税金資産はいくらか。

解答

300,000円 × 30% = 90,000円

将来減算一時差異は、将来の課税所得を減らす効果があります。 したがって、 一時差異300,000円に税率30%を掛けて90,000円となります。

問題10 繰延税金負債

将来加算一時差異が500,000円発生した。 法定実効税率は30%である。 繰延税金負債はいくらか。

解答

500,000円 × 30% = 150,000円

将来加算一時差異は将来の課税所得を増やす方向に働きます。 そのため、500,000円に30%を掛けた150,000円が繰延税金負債となります。

第5章 外貨建取引

問題11 外貨建仕入

商品を10,000ドルで仕入れた。 取引日の為替相場は1ドル=150円だった。 仕入金額を円換算しなさい。

解答

10,000ドル × 150円 = 1,500,000円

外貨建取引では、取引日の為替相場などにより円換算します。 今回の場合は10,000ドルに1ドル150円を掛けます。

問題12 為替差損益

10,000ドルの買掛金について、計上時の為替相場は1ドル=150円だった。 決済時の為替相場は1ドル=145円だった。 為替差損益はいくらか。

解答

計上時:10,000ドル × 150円 = 1,500,000円
決済時:10,000ドル × 145円 = 1,450,000円

差額:50,000円の為替差益

買掛金を支払うために必要な円が1,500,000円から1,450,000円に減少しました。 そのため50,000円の為替差益となります。

第6章 リース取引

問題13 リース取引

リース契約によって設備を使用することになった。 使用権資産800,000円、リース負債800,000円を認識した。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:使用権資産 800,000円
貸方:リース負債 800,000円

リースによって資産を使用する権利を得る一方、 将来の支払い義務も発生するため、 使用権資産とリース負債を計上します。

第7章 決算・財務諸表

問題14 未払費用

当期の給料100,000円がまだ支払われていない。 決算整理仕訳を答えなさい。

解答

借方:給料 100,000円
貸方:未払費用 100,000円

当期に発生した費用なので、当期の給料として計上します。 まだ支払っていないため、その相手科目は未払費用です。

問題15 前払費用

当期に支払った家賃120,000円のうち、 30,000円が翌期分に対応することが判明した。 決算整理仕訳を答えなさい。

解答

借方:前払費用 30,000円
貸方:支払家賃 30,000円

翌期分の家賃30,000円は当期の費用ではありません。 そのため当期の支払家賃から除き、 前払費用として資産に振り替えます。

問題16 減価償却と決算

期首に取得した建物3,000,000円について、 年間減価償却費300,000円を計上する。 仕訳を答えなさい。

解答

借方:減価償却費 300,000円
貸方:減価償却累計額 300,000円

減価償却費は費用なので借方、 これまでの減価償却額を積み上げる減価償却累計額は貸方です。

第8章 連結会計

問題17 連結会計

親会社A社が子会社B社を支配している。 連結財務諸表を作成するとき、A社のB社株式とB社の純資産について どのような処理を行うか。

解答

親会社の子会社株式と、子会社の対応する純資産を 連結上で相殺消去する。

連結財務諸表では、親会社と子会社を1つの企業グループとして扱います。 親会社が保有している子会社株式は、グループ全体から見ると 自分自身に対する投資に相当するため、そのまま残さないようにします。

問題18 のれん

子会社の純資産の時価が10,000,000円、 親会社が取得のために支払った金額が12,000,000円だった。 差額がすべてのれんになるとすると、のれんはいくらか。

解答

12,000,000円 − 10,000,000円 = 2,000,000円

取得対価が取得した純資産の時価を上回っている部分が、 設問上すべてのれんになるため、2,000,000円です。

問題19 内部取引

親会社が子会社へ商品を販売し、 その商品が期末時点でも子会社の在庫として残っている。 連結財務諸表ではどのように処理するか。

解答

企業グループ内の売上・仕入を消去するとともに、 商品に含まれる未実現利益を消去する。

親会社と子会社の間の取引は、企業グループ全体から見れば 外部との取引ではありません。 そのため、連結財務諸表では内部取引を消去します。

第9章 商業簿記総合問題

問題20 総合仕訳

次の取引について仕訳しなさい。

(1) 商品300,000円を掛けで仕入れた。
(2) 上記商品の一部50,000円を返品した。
(3) 商品500,000円を掛けで販売した。
(4) 売掛金100,000円を普通預金で回収した。

解答

(1)
借方:仕入 300,000円
貸方:買掛金 300,000円

(2)
借方:買掛金 50,000円
貸方:仕入 50,000円

(3)
借方:売掛金 500,000円
貸方:売上 500,000円

(4)
借方:普通預金 100,000円
貸方:売掛金 100,000円

商品を仕入れたときは仕入、 販売したときは売上を使用します。 掛け取引では買掛金・売掛金が登場することがポイントです。

第10章 工業簿記・原価計算

問題21 製造原価の分類

工場で製品を製造するために、 直接材料費200,000円、直接労務費150,000円、 製造間接費100,000円が発生した。 製造原価はいくらか。

解答

200,000円+150,000円+100,000円 = 450,000円

製造原価は基本的に材料費、労務費、経費などから構成されます。 今回の金額を合計すると450,000円です。

問題22 直接費と間接費

製品Aを製造するために直接使用した材料100,000円と、 工場全体で使用する電気代50,000円が発生した。 それぞれ直接費か間接費か答えなさい。

解答

直接使用した材料100,000円=直接材料費
工場全体の電気代50,000円=製造間接費

特定の製品に直接結び付けられる材料は直接材料費です。 工場全体で発生する電気代のように製品ごとに直接集計しにくいものは、 製造間接費として処理します。

第11章 個別原価計算

問題23 個別原価計算

製造指図書No.101について、 直接材料費120,000円、 直接労務費80,000円、 製造間接費60,000円が集計された。 製造原価はいくらか。

解答

120,000円+80,000円+60,000円 = 260,000円

個別原価計算では、製造指図書などの単位ごとに原価を集計します。 今回の3つの原価を合計して260,000円です。

問題24 製造間接費の予定配賦

製造間接費予定配賦率が1時間あたり800円、 製品Aの実際直接作業時間が300時間だった。 製品Aへ配賦する製造間接費はいくらか。

解答

800円 × 300時間 = 240,000円

予定配賦額は、 予定配賦率×実際配賦基準量 で計算します。

第12章 総合原価計算

問題25 完成品原価

当月投入原価が900,000円、 月末仕掛品原価が150,000円だった。 単純化して、完成品原価を計算しなさい。

解答

900,000円 − 150,000円 = 750,000円

単純化した設問では、 当月投入原価から月末に残っている仕掛品原価を差し引くことで、 完成品原価を求めます。

問題26 完成品換算量

月末仕掛品が100個あり、加工進捗度が60%だった。 加工費についての完成品換算量はいくつか。

解答

100個 × 60% = 60個

仕掛品100個が加工について60%完成しているため、 完成品60個分の加工を行ったのと同じと考えます。

問題27 先入先出法

先入先出法では、一般にどの仕掛品から先に完成したと考えるか。

解答

先に投入された仕掛品から先に完成したと考えます。

先入先出法は「先に入ったものから先に出ていく」という考え方です。

第13章 標準原価計算

問題28 標準原価

製品1個について、標準材料費が2,000円、 標準労務費が1,500円、標準製造間接費が1,000円だった。 標準製造原価はいくらか。

解答

2,000円+1,500円+1,000円 = 4,500円

標準材料費、標準労務費、標準製造間接費を合計すると、 製品1個あたりの標準製造原価になります。

問題29 材料価格差異

標準価格は1kgあたり500円、 実際価格は1kgあたり520円、 実際購入数量は1,000kgだった。 材料価格差異はいくらか。

解答

(520円 − 500円) × 1,000kg = 20,000円

実際価格が標準価格より20円高いため、 1,000kgでは20,000円の差が発生します。 標準より高く購入しているため、不利差異として考えます。

問題30 賃率差異

標準賃率が1時間2,000円、 実際賃率が1時間2,100円、 実際作業時間が500時間だった。 賃率差異はいくらか。

解答

(2,100円 − 2,000円) × 500時間 = 50,000円

実際の賃率が標準より100円高いため、 500時間では50,000円の差となります。

第14章 直接原価計算・CVP分析

問題31 限界利益

売上高が1,000,000円、 変動費が600,000円だった。 限界利益はいくらか。

解答

1,000,000円 − 600,000円 = 400,000円

限界利益は、 「売上高-変動費」 で計算します。

問題32 営業利益

限界利益400,000円、固定費250,000円だった。 営業利益はいくらか。

解答

400,000円 − 250,000円 = 150,000円

営業利益は、 限界利益から固定費を差し引いて求めることができます。

問題33 損益分岐点売上高

固定費が300,000円、 売上高1,000,000円、 変動費600,000円だった。 損益分岐点売上高はいくらか。

解答

変動費率: 600,000 ÷ 1,000,000 = 60%

限界利益率: 100% − 60% = 40%

損益分岐点売上高: 300,000 ÷ 40% = 750,000円

損益分岐点売上高は、 固定費÷限界利益率 で求められます。

問題34 目標利益

固定費400,000円、 目標利益200,000円、 限界利益率50%の場合、 目標利益を達成するための売上高はいくらか。

解答

(400,000円+200,000円) ÷ 50% = 1,200,000円

必要売上高は、 「固定費+目標利益」を限界利益率で割って求めます。

第15章 予算・差異分析

問題35 予算差異

予算額500,000円、 実際発生額540,000円だった。 予算差異はいくらか。

解答

540,000円 − 500,000円 = 40,000円

実際発生額が予算を40,000円上回っているため、 費用については40,000円の不利差異と考えます。

問題36 操業度差異

予定操業度は1,000時間、 実際操業度は900時間だった。 操業度の減少は何時間か。

解答

1,000時間 − 900時間 = 100時間

実際の操業度が予定より100時間少ないため、 操業度差異を考えるときの差は100時間です。

第16章 総合演習

問題37 商業簿記総合問題

次の事項について決算整理を行いなさい。

・売掛金残高800,000円に対して2%の貸倒引当金を設定する。
・備品の減価償却費100,000円を計上する。
・支払家賃のうち翌期分50,000円を前払費用に振り替える。

解答

貸倒引当金: 800,000円 × 2% = 16,000円

減価償却費: 100,000円

前払費用: 50,000円

仕訳の基本形は以下のとおりです。

借方:貸倒引当金繰入 16,000円
貸方:貸倒引当金 16,000円

借方:減価償却費 100,000円
貸方:減価償却累計額 100,000円

借方:前払費用 50,000円
貸方:支払家賃 50,000円

決算整理では、「当期に属するもの」と「翌期以降に属するもの」を きちんと区別することが重要です。 また、貸倒引当金や減価償却など、 将来の損失や固定資産の価値減少を適切に反映させる処理も重要です。

問題38 工業簿記総合問題

製品1個あたりについて次の標準原価が設定されている。

項目 標準原価
直接材料費 1,200円
直接労務費 800円
製造間接費 500円

1,000個生産する場合の標準製造原価を求めなさい。

解答

1個あたりの標準製造原価:

1,200円+800円+500円 = 2,500円

1,000個分:

2,500円 × 1,000個 = 2,500,000円

まず1個あたりの原価を求め、 その金額に生産数量を掛けます。

問題39 CVP総合問題

販売価格は1個2,000円、 変動費は1個1,200円、 固定費は800,000円である。

(1) 1個あたりの限界利益を求めなさい。
(2) 損益分岐点販売数量を求めなさい。
(3) 1,000個販売した場合の営業利益を求めなさい。

解答

(1) 限界利益

2,000円 − 1,200円 = 800円

(2) 損益分岐点販売数量

800,000円 ÷ 800円 = 1,000個

(3) 1,000個販売した場合

売上高: 2,000円 × 1,000個 = 2,000,000円

変動費: 1,200円 × 1,000個 = 1,200,000円

限界利益: 2,000,000円 − 1,200,000円 = 800,000円

営業利益: 800,000円 − 800,000円 = 0円

1,000個がちょうど損益分岐点販売数量なので、 1,000個販売すると利益はゼロになります。

問題40 2級重要総合問題

次のうち、正しいものを答えなさい。

A.限界利益は「売上高+変動費」で求める。
B.固定費は販売数量に応じて必ず比例して変化する。
C.損益分岐点では営業利益がゼロになる。
D.連結財務諸表では企業グループ内の取引をすべてそのまま残す。

解答

C

Aは誤りです。限界利益は「売上高-変動費」です。

Bも誤りです。固定費は、一定の範囲内では操業度が変化しても 総額が大きく変わらない費用です。

Cは正しいです。損益分岐点では売上高と総費用が一致し、 営業利益はゼロになります。

Dも誤りです。連結財務諸表では、企業グループ内の内部取引などは 原則として消去します。

この問題集の使い方

まず問題文だけを読んで、自分で仕訳・計算をしてください。 すぐに解答を見るのではなく、できるだけ途中の計算式も書くのがおすすめです。

特に日商簿記2級では、単純に答えを暗記するだけではなく、 「なぜその勘定科目になるのか」 「なぜその計算式になるのか」 を理解することが重要です。

商業簿記では仕訳を正確にすること、 工業簿記では原価の流れを理解することを意識すると学習しやすくなります。


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最終更新日:2026年9月