「普通の中古住宅より安い物件を探したい」「訳ありでも、自分で直せる物件なら買ってみたい」という人向けに、訳あり物件を見つける方法をまとめています。大切なのは、物件の安さよりも安くなっている理由を把握することです。
「訳あり物件」は、法律で決められた一つの正式な分類ではありません。一般には、何らかの事情によって通常の相場より価格が低くなっていたり、買い手が限られたりする不動産を指して使われます。
たとえば、建て替えに制限がある、雨漏りがある、事件・事故などについて心理的な抵抗を持つ人がいる、境界や権利関係が複雑といったケースがあります。
再建築不可、接道の問題、既存不適格、違反建築など。見た目だけでは判断できないことがあります。
雨漏り、シロアリ、傾き、屋根や外壁の劣化、給排水設備の不具合など。修繕費の確認が重要です。
人の死に関する事案など。告知については国土交通省のガイドラインがあります。
境界未確定、越境、借地、共有持分、私道、抵当権など、契約前の確認が特に重要なタイプです。
狭い道路、急な坂、車の進入が難しい、騒音、浸水リスクなど、生活しやすさに関わる問題です。
競売など、通常の中古物件とは異なる売却方法によって価格が低く見えるケースがあります。
訳あり物件を探すなら、最初から「訳あり物件」という一つの言葉だけで検索するより、訳ありの理由を表す言葉で探すほうが見つけやすいです。
一般的な不動産サイトでは、「訳あり」という言葉がタイトルに出ていないことも多いです。そのため、検索条件を変えて何度か探してみるのがコツです。
相場よりかなり安い物件を一覧で見て、その後に「なぜ安いのか」を調べる方法があります。価格だけでは理由が分からないため、物件概要や備考欄まで確認します。
「再建築不可」「現況有姿」「契約不適合責任の免責」「告知事項あり」「境界非明示」「残置物あり」など、物件の特徴が備考欄に書かれている場合があります。
不動産サイトや検索エンジンでは、次のような言葉を組み合わせると訳あり物件を探しやすくなります。
※これらの言葉が付いているからといって、必ずしも同じ程度の問題があるとは限りません。物件ごとに内容を確認してください。
訳あり物件は、インターネットに分かりやすい形で出ていないこともあります。そこで、地元の不動産会社に条件を伝えて探してもらう方法があります。
「多少の修繕は大丈夫なので、相場より安い中古戸建てを探しています」
「再建築不可でも検討できます」
「事故や告知事項についても説明を受けたうえで判断したいです」
このように、どこまでの問題なら検討できるかを先に伝えると話が進みやすくなります。
裁判所の「BIT 不動産競売物件情報サイト」では、競売物件を地域、沿線、裁判所などから検索できます。現在の売却物件だけでなく、売却スケジュールや売却結果なども確認できます。
競売では、物件に関する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」のいわゆる3点セットが重要な確認資料になります。裁判所も、入札前に物件をよく確認するよう案内しています。
訳あり物件探しでは、ここが一番重要です。
| 安い理由 | 確認したいこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 再建築不可 | 道路の種類、接道状況、自治体への確認 | 建て替えや増改築に大きな制約が出る可能性 |
| 雨漏り・老朽化 | 屋根、外壁、基礎、床下、天井 | 表面だけ直して済まないことがある |
| 事故・人の死 | 事案の内容、時期、告知の有無 | 気持ちの問題だけでなく、売却時にも確認が必要 |
| 境界・越境 | 境界標、測量図、隣地との取り決め | 購入後の隣地トラブルにつながることがある |
| 借地・共有 | 契約内容、地代、共有者、承諾の要否 | 自由に処分・建築できない場合がある |
| 競売 | 3点セット、占有状況、売却条件 | 通常の仲介売買と手続が異なる |
訳あり物件の中でも、特に注意したいのが「再建築不可」です。
国土交通省の説明では、都市計画区域内で建築物を建築する場合、原則として敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していることが求められます。例外もあるため、物件ごとの道路・接道状況を確認する必要があります。
※道路や接道の判定は地域や物件の状況によって異なるため、広告の一言だけで判断せず、自治体の建築担当窓口や不動産会社に確認するのが安全です。
人の死に関する事案がある物件については、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しています。ケースによって告知の考え方が違うため、「事故物件」という言葉だけで判断しないことが大切です。
価格が安くても、修繕費が大きければ総額は高くなります。特に中古戸建てでは、見た目だけで状態を判断しないようにします。
天井のシミだけでなく、屋根裏や壁内部まで影響していないか確認します。
床下、柱、土台などを確認。過去の駆除・補修履歴があれば資料を見ます。
床や建具の状態だけでなく、専門家による確認も検討します。
ひび割れ、塗装の劣化、瓦や板金の状態などを確認します。
大きな修繕が必要そうなら、購入前にリフォーム会社や建築士などに見てもらい、概算費用を取っておくと判断しやすくなります。
建物がボロボロではなくても、土地や権利関係が複雑なために安い物件があります。
隣地との境界がはっきりしているか、塀や建物、樹木などが越境していないかを確認します。
土地を所有せず、借りて建物を所有するタイプ。地代や契約期間、更新、建て替えなどの条件を確認します。
一つの不動産を複数人が共有しているケースです。共有者との関係や、売却・利用についての制約を確認します。
道路の権利関係や通行・掘削に関する取り決めがあるかを確認します。私道だから必ず問題というわけではありません。
重要事項説明では、建築基準法などの法令による制限が説明対象になる場合があります。物件所在地の行政窓口への確認も重要です。
現地だけでは分からない問題があるので、書類の確認も重要です。
所有者、抵当権などの権利関係を確認する資料です。
土地の形状や境界確認の材料としてチェックします。
建築確認関係書類や検査済証など、残っている資料を確認します。
売主からの説明資料や告知事項があれば内容を確認します。
物件によって存在する書類・確認できる資料は異なります。必要な書類については仲介会社や専門家に確認してください。
訳あり物件は、購入価格が安いからこそ、その後の費用を先に計算しておくことが重要です。
| 費用 | 例 |
|---|---|
| 仲介・契約関連 | 仲介手数料、印紙税など |
| 登記関連 | 所有権移転登記など |
| 修繕 | 屋根、外壁、水回り、内装、床下など |
| 解体・撤去 | 老朽建物の解体、残置物処分など |
| 測量・境界 | 状況により測量等が必要になる場合 |
| 税・保険・維持費 | 固定資産税、火災保険、管理費など |
訳あり物件は、単に「安くしてください」と言うより、必要になる費用や条件を整理して交渉するほうが話がしやすくなります。
ただし、値下げ幅は物件の人気、売主の事情、周辺相場などによって変わります。最初に周辺の通常物件と比べておくと、「安い」のか「安く見えるだけ」なのかを判断しやすくなります。
A. 「ここなら必ず安い」という一つの場所があるわけではありません。再建築不可、要修繕、競売など、安くなる理由ごとに探し方が違います。
A. 必ずではありません。事案の内容や立地、建物状態など、複数の要素で価格は決まります。また、人の死に関する告知についてもケースごとの取り扱いがあります。
A. 一律には判断できません。自分の利用目的に合っているか、将来の売却や建て替えの制約を理解しているかが重要です。接道や道路の扱いを確認して判断します。
A. 入札参加の仕組みはありますが、一般の不動産売買とは異なります。裁判所の資料と手続案内をよく確認し、必要に応じて専門家へ相談してから検討するのがおすすめです。
国土交通省:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
人の死に関する事案の告知について確認できます。
裁判所:BIT 不動産競売物件情報サイト
競売物件の検索、売却スケジュール、売却結果、物件の3点セットなどを確認できます。
国土交通省:重要事項説明における各法令に基づく制限等について
不動産取引で確認が必要になる法令上の制限について整理されています。
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