訳あり物件の探し方

「普通の中古住宅より安い物件を探したい」「訳ありでも、自分で直せる物件なら買ってみたい」という人向けに、訳あり物件を見つける方法をまとめています。大切なのは、物件の安さよりも安くなっている理由を把握することです。


訳あり物件とは

「訳あり物件」は、法律で決められた一つの正式な分類ではありません。一般には、何らかの事情によって通常の相場より価格が低くなっていたり、買い手が限られたりする不動産を指して使われます。

たとえば、建て替えに制限がある、雨漏りがある、事件・事故などについて心理的な抵抗を持つ人がいる、境界や権利関係が複雑といったケースがあります。

「訳あり=危険」「訳あり=お得」と決めつけないことが大切です。
同じ「訳あり」でも、修繕すれば使えるものから、法令や権利関係によって用途が大きく制限されるものまで内容はかなり違います。

訳あり物件の主な種類

建築上の訳あり

再建築不可、接道の問題、既存不適格、違反建築など。見た目だけでは判断できないことがあります。

建物の状態が悪い

雨漏り、シロアリ、傾き、屋根や外壁の劣化、給排水設備の不具合など。修繕費の確認が重要です。

心理的な事情

人の死に関する事案など。告知については国土交通省のガイドラインがあります。

土地・権利関係の問題

境界未確定、越境、借地、共有持分、私道、抵当権など、契約前の確認が特に重要なタイプです。

立地・利用上の問題

狭い道路、急な坂、車の進入が難しい、騒音、浸水リスクなど、生活しやすさに関わる問題です。

売買事情による訳あり

競売など、通常の中古物件とは異なる売却方法によって価格が低く見えるケースがあります。

訳あり物件はどこで探す?

訳あり物件を探すなら、最初から「訳あり物件」という一つの言葉だけで検索するより、訳ありの理由を表す言葉で探すほうが見つけやすいです。

  1. 不動産ポータルサイトで条件を広げて検索する
  2. 地元の不動産会社に「安い理由のある物件を探している」と伝える
  3. 裁判所の競売物件情報を確認する
  4. 気になる物件が見つかったら、掲載情報だけで判断せず、資料と現地を確認する

不動産サイトでの探し方

一般的な不動産サイトでは、「訳あり」という言葉がタイトルに出ていないことも多いです。そのため、検索条件を変えて何度か探してみるのがコツです。

まずは価格を広げて探す

相場よりかなり安い物件を一覧で見て、その後に「なぜ安いのか」を調べる方法があります。価格だけでは理由が分からないため、物件概要や備考欄まで確認します。

備考欄を必ず見る

「再建築不可」「現況有姿」「契約不適合責任の免責」「告知事項あり」「境界非明示」「残置物あり」など、物件の特徴が備考欄に書かれている場合があります。

検索するときのキーワード

不動産サイトや検索エンジンでは、次のような言葉を組み合わせると訳あり物件を探しやすくなります。

訳あり 再建築不可 接道不良 事故物件 告知事項あり 雨漏り シロアリ 要修繕 古家付き土地 既存不適格 違反建築 境界非明示 越境あり 借地権 共有持分 私道 任意売却 競売

※これらの言葉が付いているからといって、必ずしも同じ程度の問題があるとは限りません。物件ごとに内容を確認してください。

不動産会社に直接聞く方法

訳あり物件は、インターネットに分かりやすい形で出ていないこともあります。そこで、地元の不動産会社に条件を伝えて探してもらう方法があります。

伝え方の例

「多少の修繕は大丈夫なので、相場より安い中古戸建てを探しています」

「再建築不可でも検討できます」

「事故や告知事項についても説明を受けたうえで判断したいです」

このように、どこまでの問題なら検討できるかを先に伝えると話が進みやすくなります。

ただし、「訳ありなら何でもいい」と伝えるのはおすすめしません。自分が許容できる問題と、絶対に避けたい問題を分けておきましょう。

競売で探す方法

裁判所の「BIT 不動産競売物件情報サイト」では、競売物件を地域、沿線、裁判所などから検索できます。現在の売却物件だけでなく、売却スケジュールや売却結果なども確認できます。

競売では、物件に関する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」のいわゆる3点セットが重要な確認資料になります。裁判所も、入札前に物件をよく確認するよう案内しています。

競売は、普通の中古住宅の購入とは手続きが違います。
入札、買受人の責任範囲、占有者の有無など、一般の売買とは違う点があります。安そうだからという理由だけで入札するのではなく、裁判所の手続案内を読んでから検討しましょう。

なぜ安いのかを確認する

訳あり物件探しでは、ここが一番重要です。

安い理由確認したいこと注意点
再建築不可道路の種類、接道状況、自治体への確認建て替えや増改築に大きな制約が出る可能性
雨漏り・老朽化屋根、外壁、基礎、床下、天井表面だけ直して済まないことがある
事故・人の死事案の内容、時期、告知の有無気持ちの問題だけでなく、売却時にも確認が必要
境界・越境境界標、測量図、隣地との取り決め購入後の隣地トラブルにつながることがある
借地・共有契約内容、地代、共有者、承諾の要否自由に処分・建築できない場合がある
競売3点セット、占有状況、売却条件通常の仲介売買と手続が異なる

再建築不可・接道を確認する

訳あり物件の中でも、特に注意したいのが「再建築不可」です。

国土交通省の説明では、都市計画区域内で建築物を建築する場合、原則として敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していることが求められます。例外もあるため、物件ごとの道路・接道状況を確認する必要があります。

確認するポイント

  • 前面道路は建築基準法上の道路なのか
  • 敷地は道路に何m接しているのか
  • セットバックが必要なのか
  • 建て替えができるのか、できないのか
  • 再建築以外の増改築にも制限がないか

※道路や接道の判定は地域や物件の状況によって異なるため、広告の一言だけで判断せず、自治体の建築担当窓口や不動産会社に確認するのが安全です。

事故物件・告知事項を確認する

人の死に関する事案がある物件については、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しています。ケースによって告知の考え方が違うため、「事故物件」という言葉だけで判断しないことが大切です。

確認したいこと

  • どのような事案だったのか
  • いつ発生したのか
  • どの場所で発生したのか
  • 仲介会社からどのような説明を受けたのか
  • 契約書・重要事項説明書などにどのような記載があるのか
「告知事項あり」だけを見て怖がるのではなく、具体的な内容を確認する。
何があったのかを理解して、自分がその条件を受け入れられるかで判断するほうが現実的です。

修繕が必要な物件を確認する

価格が安くても、修繕費が大きければ総額は高くなります。特に中古戸建てでは、見た目だけで状態を判断しないようにします。

雨漏り

天井のシミだけでなく、屋根裏や壁内部まで影響していないか確認します。

シロアリ

床下、柱、土台などを確認。過去の駆除・補修履歴があれば資料を見ます。

傾き

床や建具の状態だけでなく、専門家による確認も検討します。

屋根・外壁

ひび割れ、塗装の劣化、瓦や板金の状態などを確認します。

大きな修繕が必要そうなら、購入前にリフォーム会社や建築士などに見てもらい、概算費用を取っておくと判断しやすくなります。

権利関係の訳ありを確認する

建物がボロボロではなくても、土地や権利関係が複雑なために安い物件があります。

境界・越境

隣地との境界がはっきりしているか、塀や建物、樹木などが越境していないかを確認します。

借地権

土地を所有せず、借りて建物を所有するタイプ。地代や契約期間、更新、建て替えなどの条件を確認します。

共有持分

一つの不動産を複数人が共有しているケースです。共有者との関係や、売却・利用についての制約を確認します。

私道

道路の権利関係や通行・掘削に関する取り決めがあるかを確認します。私道だから必ず問題というわけではありません。

重要事項説明では、建築基準法などの法令による制限が説明対象になる場合があります。物件所在地の行政窓口への確認も重要です。

現地で見るところ

□ 建物の外壁に大きなひびや傾きがないか
□ 屋根や雨どいに大きな破損がないか
□ 天井や壁に雨漏りの跡がないか
□ 床が大きく沈んだり傾いたりしていないか
□ 建具やドアが極端に閉まりにくくないか
□ 水を出したときに排水できるか
□ 床下や収納にカビ・腐食の跡がないか
□ 敷地に残置物や大量のゴミがないか
□ 隣家との境界や越境が気にならないか
□ 前面道路から車を入れられるか
□ 昼と夜の周辺環境に問題がないか

書類で確認するところ

現地だけでは分からない問題があるので、書類の確認も重要です。

登記事項証明書

所有者、抵当権などの権利関係を確認する資料です。

公図・測量図など

土地の形状や境界確認の材料としてチェックします。

建築関係の資料

建築確認関係書類や検査済証など、残っている資料を確認します。

告知書・物件状況

売主からの説明資料や告知事項があれば内容を確認します。

物件によって存在する書類・確認できる資料は異なります。必要な書類については仲介会社や専門家に確認してください。

購入価格以外にかかるお金

訳あり物件は、購入価格が安いからこそ、その後の費用を先に計算しておくことが重要です。

費用例
仲介・契約関連仲介手数料、印紙税など
登記関連所有権移転登記など
修繕屋根、外壁、水回り、内装、床下など
解体・撤去老朽建物の解体、残置物処分など
測量・境界状況により測量等が必要になる場合
税・保険・維持費固定資産税、火災保険、管理費など
購入価格+修繕費+諸費用で考えると、物件同士を比較しやすくなります。

価格交渉の考え方

訳あり物件は、単に「安くしてください」と言うより、必要になる費用や条件を整理して交渉するほうが話がしやすくなります。

交渉材料になりやすいもの

  • 大規模な修繕が必要
  • 残置物の撤去が必要
  • 境界や測量に費用が必要
  • 建築上の制約がある
  • 売主側で引き渡し条件の調整が必要

ただし、値下げ幅は物件の人気、売主の事情、周辺相場などによって変わります。最初に周辺の通常物件と比べておくと、「安い」のか「安く見えるだけ」なのかを判断しやすくなります。

おすすめの探し方

  1. 自分が許容できる「訳」を決める
    修繕はOK、再建築不可はNGなど、条件を決めます。
  2. 検索キーワードを複数使う
    「訳あり」だけでなく、「再建築不可」「要修繕」「告知事項あり」などでも探します。
  3. 安い物件を一覧化する
    価格、築年数、土地面積、問題点をメモします。
  4. 安い理由を一件ずつ確認する
    物件概要・備考欄・担当者への質問で原因を確認します。
  5. 現地を見る
    建物、道路、隣地、周辺環境を確認します。
  6. 修繕・専門家費用を含めて総額を計算する
  7. 書類を確認してから契約する

購入前チェックリスト

□ 「訳あり」の具体的な理由を説明してもらった
□ 周辺の相場と比べて、どのくらい安いか確認した
□ 再建築の可否を確認した
□ 接道・前面道路を確認した
□ 雨漏り・シロアリ・傾きなどを確認した
□ 境界・越境を確認した
□ 土地や建物の権利関係を確認した
□ 告知事項の具体的な内容を確認した
□ 修繕費の概算を出した
□ 残置物や解体などの費用を確認した
□ 契約書・重要事項説明書の内容を確認した
□ 不明点を残したまま契約しない

よくある質問

Q. 訳あり物件はどこが一番安いですか?

A. 「ここなら必ず安い」という一つの場所があるわけではありません。再建築不可、要修繕、競売など、安くなる理由ごとに探し方が違います。

Q. 「事故物件」と書いてある物件なら必ず安いですか?

A. 必ずではありません。事案の内容や立地、建物状態など、複数の要素で価格は決まります。また、人の死に関する告知についてもケースごとの取り扱いがあります。

Q. 再建築不可の物件は買わないほうがいいですか?

A. 一律には判断できません。自分の利用目的に合っているか、将来の売却や建て替えの制約を理解しているかが重要です。接道や道路の扱いを確認して判断します。

Q. 素人でも競売物件を買えますか?

A. 入札参加の仕組みはありますが、一般の不動産売買とは異なります。裁判所の資料と手続案内をよく確認し、必要に応じて専門家へ相談してから検討するのがおすすめです。

公的情報

国土交通省:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
人の死に関する事案の告知について確認できます。

国土交通省の案内を見る

裁判所:BIT 不動産競売物件情報サイト
競売物件の検索、売却スケジュール、売却結果、物件の3点セットなどを確認できます。

BIT 不動産競売物件情報サイトを見る

国土交通省:重要事項説明における各法令に基づく制限等について
不動産取引で確認が必要になる法令上の制限について整理されています。

国土交通省の案内を見る


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最終更新日:2026年9月